日なたの道は、まだ薄曇り
[こうして暫くの間、ハリコはルリコの元に身を寄せていた。
顔の傷を“なかったことにする”程に直す外科手術は、それこそ成金ばりの大枚を叩けばできてしまう(逮捕後にはその機会を与えられなかった)けれど、今は余計な注目を浴びないように手術は控えて。
それでもさしあたりは、外出する時だけルリコのふりをして表を歩く日々。ルリコ自身も時折ハリコのように、右眼をスカーフで覆って外を出歩いてくれたりしたのだ!
その間、ハリコはルリコのコンピュータを借りて、レイルのメモの宛先に取り急ぎの無事の報告を送っていた。他にも連絡先を報せてくれた者がいたなら、その相手にも。
“キラキラちゃん”への復讐メールの送り先アドレスの存在は、この時のハリコの頭からは抜け落ちたままだった。向こうには実家の住所から行きつけの隠れ家カフェの場所、シエナと共に通っていた高校が何処かまで全部知られている可能性もあったが……
>>288。
突然の形で別れを知った――その鎖の轟音にハリコは気づいていた――ルミ
>>306>>307の行き先も判らないまま。
ただ察せたのは、“友達”はほんとうに、日なたの道とは違う道を歩むのだということ。]