まずいな、
[罠。
そう言った単語が出て来るより先、身体が動いた。それは丁度部屋の扉が蹴破られる音と同時で、勢いのままケーブルを引き抜き女を突き飛ばすと、そのまま窓の淵へ手をかける。
ここは二階だ、飛び降りても問題無い高さだが、逃走を許してくれる程連中は優しくない。
と、言う事で、]
――あげるよ
[腰のポーチから閃光手榴弾を取り出し、部屋の中心へ放り込んだ。
裏路地とは言え此処は街中。また、自身への被害があっては困る。
故に音ナシ、光のみ。炸裂するソレに背を向ければ、ある程度のショックは抑えられる。
部屋の中に居た者はたまったモノでは無いだろうが、自身はそのまま窓の外に飛び出し、義足で衝撃を和らげ転がりつつ着地。先ほど抜き出したGPS情報複数の裏をかくような道を逃走経路に選び、その日は何とか逃げ果せただろう。]