ああ、あれか…あれなら此処にもある。
[あの人が持っているものは何かと問われて、子どもの元を訪れた時にベッドテーブルへ置いたガラス板を、子どもの眼前に軽く掲げる。
一見して、ただのガラス板。
しかし、それは仰々しい大型の機械は施術や回診の邪魔になったり、埃が積もって不衛生だという理由から、進化し続けた医療用タブレット端末だ。
とん、と男がガラス面を突けば、画面いっぱいに目の前の子どもに関するさまざまな情報が表示される。身長・体重・血中成分・筋肉量・強化部位etc…
一瞬だけそれらを表示して、一応機密情報だから、と男はすぐに端末を閉じてしまった。]