― かつての夜雀亭:アリシアとの日々 ―
[>>291>>292
彼女との会話はとても楽しい。
裏に身を置く日常から切り放された、非日常な表の日々。
自身の纏う身分は偽りの物だったが、それでもよかった。
己との会話にのめり込む彼女を見て感じたのはある種の愛おしさで、同時にこの花を手折ってしまいたいと言う危険な思考も沸いて出る。
対象を好ましいと思う感情と、その相手に対する破壊願望。
本来両立しないそれが簡単に繋がってしまうのが自分である訳で。
危ない時期は外に出ないようにと言う忠告は、自分の立場を露とするもの。
在ったのは好奇心か、破滅か、親切心か。
この関係性に名をつけるであれば、それは一体何なのだろうね?
此方の出方を窺う彼女に隙を見せたり、隠したり。
楽しい綱渡りを演じながら、今日も夜雀亭もケーキを頂こうか。
ここの酒と甘味は絶品な上、看板娘とのお喋りまで付いて来るのだから、こんなに良い事は無い。*]