実を言うと、私たち……カサブランカはね、
貴女を受け入れなかったことを負い目に思っているの。
社の立ち位置上、止むを得なかったことではあったし
うちの方から先に拒否を出した訳ではなかったけれど。
[直に当人から「幸せ」の語を聞いたからこそ、漸く口にできる話題。
この内情についての守秘義務は特に無かったが(「表側」に対しては別として)、この件を自ずから「触れるべからず」に定めてしまう程には、リリオの職員たちにとって深い負い目となっていた。]
けれど貴女は幸せだった、不憫なんかじゃない――
そう解って、胸の閊えが取れた気がしたわ。
私の機体に「胸の閊え」って感覚は起きないけれど、
そんな言葉が当て嵌まるくらい、気掛かりだったの。
[清々しさを湛えた笑みで、「良かった」、と呟いて]