とあるうさぎの話
[ある時期までのこと。
遊撃隊にはうさぎが一匹おりました。
月に住まうとおとぎ話の餅つきうさぎよろしく
飛んで跳ねては駆け回り、大きな槌で赤い餅をついておりました。
誰かが言っておりました。
機械は扱う者がいるから動くのだと。
扱う者がいなくなれば、それは鉄の塊と変わらないと。
うさぎは「なるほど」と思いました。
ならば、丸ごと潰してしまえれば鉄の屑と変わらないと、うさぎは思い至ったのです。
それは自分が得意な
分野だと、うさぎは
槌を取りました。
そうして、うさぎは餅をついたのです。
ある時は前線の援護の為に、戦場を駆け飛び注意を引いて
ある時は奇襲を行い、中身がいたりいなかったりする鉄の塊を鉄板にして
ーーーまあ、いつの間にかうさぎは
狩られたのか人知れずいなくなってしまったのですが。]*