── 機械文明と写真家 ──
[行き先の是非はさておき、正門をくぐった頃にイノリくんは写真家について聞いてくれた。
>>335 その事に苦笑いを浮かべれば、確かにね、と頷く。
本来なら噛み合わない筈の世界同士にも関わらず、この時は互いに認識しているものが同じなのは果たして奇妙なものである。]
痛い所を突いてくるね。
まあ、お察しの通り今の時代、機械がなんでもやってくれる。
やってしまうよね。
ネットで少し探せばプロが撮るものと遜色ない写真は幾らでもあるし、それについてはとほほだけど。
でも、自分の足で見た景色、思い出、記憶、魂。
そういったものをひっくるめて形に出来るんだよ、写真って。
それだけは機械が撮った写真からは得られない。
拘りと言っちゃえば、そうだけどね。