[さてこの男、どうしてやろうか。
最後に命乞いの1つでも聞いてやろうじゃあないかと、口のダクトテープを乱暴に剝がされ出てきた言葉は、]
今すぐわたしを雇えば、
一週間以内に「████」の情報をごっそり抜いて
そのまま潰せる状態にして差し上げよう
[「████」と言うのは当時の夜の女王よりも少し大きい組織で、目下悩みの種であった。
邪魔でしかないソレであったが、消せるであれば消してみろと、命乞いにしては大きく出たソレを当時のボスは大層愉快に笑い、その場で解放。
行方をくらませないようGPS付きの首輪をつけた上で、キャッチアンドリリース。
――そして有言実行、アッサリ幹部役職の情報を数日で複数ぶち抜き、夜の女王に横流し。
約束通り、組織は彼のもたらした情報の元、夜の女王の手で壊滅。
その働きが評価され、赤い男は正式に組織に迎え入れられる。
無論、それを嫌がる人物も居ただろうが、当時のボスの決定は覆せない。
『メフィストフェレス』と言う男はそのままコードネームを変え、『フィジシャン』として居座った。
そのまま組織内での立場を徐々に上げて行き、現在の椅子に座って居る。]