[兄を喪って。差し出された幼馴染の腕に縋ってまた、喪って。2人、愛した。愛の形は違うかもしれないけれど。大事で大切な『3人』だったから。最後の1人を喪うのを、恐れた。俺が縋れば、助けを求めれば皆死ぬ。それは彼女もわかっていたのだろう。さようならと、俺が城下町を去る日に。引き留めなかった。――そして俺も、「助けて」と縋れなかった。最後の1人を喪うのを恐れて。]