― 回想/1年前・夏の終わり・九月/美術室 ―[背筋の伸びた松本>>300は、普段より一回り大きく見えた。動物の本能であるかのように、結月は震える手を固く握りしめる。虚勢であることは明らかだった。それでも結月は笑う。>>212涙を浮かべて、瞳を輝かせても。既に後悔していることを自覚しても>>210、目の前の大人から向けられた言葉に胸が痛んでも。結月は決して涙を流さない。>>303]