[書けと言われたから書いた私の処女作は
曾祖父の著書の出版権を持つ会社から賞を貰った。
受賞の賞金は私の手元に来なかったものの、
三年間の作家契約は私のものとなって
結果、そのおかげで今いる私は守られた。
尊厳が踏みにじられそうになって、
無体を働かれる前になんとか逃げ出したけれど、
怖くてどうしたら良いか分からない私に
担当についてくれた人が、逃げて良いと言ってくれて。
作家としての立場を確立する為に書けるだけ書いて
自立する為の力を付けなさいと励まし、
支えると言ってくれた言葉通り
作家契約の更新と共に家出した私を引き受け、
共に暮らしながら自活できる術まで与えてくれたから]