[ひとしきりおどけるように笑ってから、飯島は言葉を続ける。]
ケンくんさ。前に俺に怒ったときは怒った顔したらって言ってくれたけどさ。
そんなことしたら友達がいなくなるんだよ。白けるしさ。
それに、ケンくんだって、ブチ切れたって話聞いたことあるけど。あんまいい風に言われてんの、聞いたことないよ。
面倒だって思わない?怒って変な噂立てられんの。
まあ、ケンくんはあんま気にしないのかもしれないけどさ。
なんだろう、距離感?とか協調?っての、しといた方が楽だと思うよ。
んー、ま、なんにせよ俺はビビりで、その上寂しん坊だからさ。
周りから距離を置かれたらきっと泣いちゃうな。
だから、あんまし怒りたくない。分かる?
[冗談めかして笑って。何か言われるなら、その言葉に耳を傾けて。一区切りついたところで、飯島は席を立つ。]
ちょっと休憩しよっか。俺、飲み物奢るよ。好きなもん言って。
[そう言って、飯島は自販機へと飲み物を買いに走る。
自分でも言語化できない感情が、胸の中に燻っていた。]**