想起・葬儀社という施設
[葬儀社といえば、
白い家の百合の事だ。
身寄りのない少女を受け入れる中央表通りの企業であることから、受け入れ先の候補として秘密裏に名前が挙がっていた事は覚えている。
もっとも、夜の女王の間でもその公平性ゆえに思慮していたと言うし、リリオの方からも私の立場の危うさから断られてしまったと聞いたが。
『あそこは裏で死体をこっそり売り捌いてるこわーいお店さ、嬢ちゃんは近付くなよ?
女の子は高く売れるからなあ……まるまる太らせていただくって寸法よ。……っはは、冗談冗談!怖がらせたかっただけさ!』
といつかのお客さんが言っていたことを思い出す。
他にも何度か話を聞くうち、どうやら体内の金属類を裏で売っているらしい
>>17ことが推測できた。]
私が売られちゃう、ってあながち間違いでもないじゃない。[思い出してくすりと笑う。
きっと話をしてくれたお客さんは思いもしなかったのだろうが、考えてみれば、この体内にはトループ国内では手に入らないような部品と技術が詰まっているのだ。
そんな事を気楽に考えるあたり、アリシアにとって、葬儀社とはその程度の関心しか持たないようなものだった。]