[アレッキーノの話からは、彼の妻子が何時亡くなったのかは知れない――勿論、何故亡くなったのかも。
遺された夫であり父であるその人に対し、この辺りの事情の詮索をすることはしなかったが]
あたしが“放火魔”にされたことで、
あなたの奥さんと娘さんが
悲しんでいたら……とも思ったけれど。
[この二人の死がハリコの逮捕以前であればこんな心配は要らない……という唯物論は口にしなかった。草葉の陰で、なんて言葉もあるくらいなのだから。
序に言えばこの一言で己が冤罪を掛けられているということも示した訳だが、これは特にこの場で無実を伝えたかった訳では無く、さらっと零しただけのこと。]
それでも“Harriko”を愛してくれた――
ううん、今も天国で愛してくれてるのなら、
あたしにとって、これほど心強いことはないわ。