[何も話さないし、そもそも声の届く距離にいないから、
激情を秘めた声>>309が響くこともない。
何の色もなかった。
今日が四月であっても>>44五月であっても>>147、
図書室にいる結月の瞳は死んだように凪いでいる。
気遣いによって当然のように閉じられた扉の向こう、>>308
そこに誰かがいたなんて思いもしていない。]
……。
[ここに、結月の心を揺らすものは何もない。
目を逸らしたのはどちらが先だっただろう。
コピーを済ませて立ち去るケンを見つめる結月の姿は、
カメラにさえ映らなかった。]