― 回想:ハリコと ―
[引きつった彼女の笑みに眉尻を下げる。>>294
強がっている。そう言う物を感じ取って、胸が痛んだ。
自分は、彼女の事を何も知らない。
だから痛む全てを分かってあげる事は出来ないのだと、少しだけ目を伏せる。]
ええ、喜んで
1人より、2人の方が安心する
そうでしょう?
[危険ではない、とは言わなかった。
誰に聞かれているとも分からない会話、当たり障りのない言葉を選ぶ。>>295
2人で行動すれば、1人の時よりは看守に難癖を付けられにくい。
これが3人4人と言う団体であれば、それはそれで困った事になるのだが、2人という数字は丁度良いものだった。
同意の頷きを受け取り、相手に刻まれた様々な痛みに寄り添えるよう、返される些細な反応を拾い上げる。>>296
そうして此処から医務棟までのルートを思い浮かべながら、エスコートするように片手を差し出して。勿論、彼女から応えられなくとも、自分は何も気にしない。]