[どの組織にも属していない人間と言う物は動きやすい。
その時既に、夜の女王の雇われとして首輪はついていたものの、わたしはまだ一員では無かった。
だからきっと、わたしがしくじり「シンギュラリティ」に追い詰められたとしても、夜の女王は何もしてくれない。
けれどそんな事はどうでもいい。
相手の情報を拾えば拾うほど高揚感を覚え、後戻りできない事にどうしようもない程の背徳感を覚える。
ああ、なんて楽しいのだろう!
情報管理部署の主要幹部を1人、単身のまま直接再起不能にした辺りで、夜の女王側は十分と判断したのだろう。
帰還命令が下れば、わたしは飼い主の元へ戻って行く。
高ぶった感情のまま数多の情報片手、報告へと至ったものの、「シンギュラリティ」を『潰すまで』は此処で待機してなさいと、実行犯は小さな部屋に押し込まれた。
その後「夜の女王のアリア」がどうやって「シンギュラリティ」を潰したのか、詳しい事は何も知らない。他組織と組んでいたかもしれないし、ソロだったのかもしれない。
唯一つ分かるのは、全てはたった数日の間に行われた事。
自分が小さな部屋で待機していたのはほんの僅かな間で、解放された頃には「シンギュラリティ」は壊滅。跡形もない――とまでは行かなかったが、首領は既に死んでいた。]