[処世術、には言いたいことが伝わって。
しょげさせてしまった大柄の彼を思い出し、もう一度申し訳なかったと心の中で詫びる。]
な、殴るんだ。
[その手でばしーんと?
絵面的には可愛くないこともなさそうだが、雰囲気的には逆に恐ろしそうな光景である。
着ぐるみで怒るなら実は着ぐるみではないのか。
名前を呼ばれないことが逆鱗に触れるのか。
担いで逃げるってことは戦闘メインではなさそうだけれど。
たしかに、筋骨隆々だと着ぐるみに入りきらないか。
貴族の解説には微妙に私情混じりの気配があって。
ふ、と顔を上げて、こくりと頷いた。
もしかしたら貴族に嫌な思い出でもあるのかもしれない。
――疑問は、ピギーのことばかりで占められていく。]