[扉の向こうに駆け寄る家主の足音を聞けば、一歩下がり扉を開けやすいポジションに移動する。>>373
どうやら無駄足とならずに済んだようだ。抱いた土産を抱え直して、ようやっと見れた顔を見下ろすのだ。]
随分熱烈な歓迎だね
嬉しいよ
[自分の中にあるドロリとした暗色はなりを潜め、何時もの優しい顔でそう微笑む。
大人と数えても支障無い年齢にも拘らず、何処か幼い彼女。そんなアンバランスさに惹かれたのか、出会った時の気まぐれか、彼女の存在は他者とは別の箱へと大切にしまい込んである。
まるで花のようにほころぶ笑顔が酷く眩しく感じて、思わず目を細めた。>>374
この子の前では、わたしはいつか焼け落ちて灰となってしまいそうだから。
だから、少し恐ろしい。
――何故?]