[レイという少女が次に目を覚ましたのは、アンドロイドの腕の中。
下っ端の構成員だったロボットは、如何な思考回路でか、被害者の少女を彼女の自宅まで届けるという判断を下していた。
そこで応対した彼女の父親に、「無事に」子供を返す心算だったのだろう――が。
頭部以外、漆黒と銀色の硬質な人形。
その頭部の顔面の人工皮膚も、襲撃の混乱の中で破損し、間に合わせの縫合が行われた。
顔の形も髪の長さも、幾らか低めの声も、確かに、元の「少年」に寄せたもの、では、あった、が。]
『 化け物 』
『 こんな人形は あの子じゃ、ない 』
[「少年」の身体をした娘を、当然のように受け入れていた父は。
けれども「あからさまな機械」の身体の娘を、拒絶した。
そのまま混乱に陥った父親は逃げ出し、消息を絶った。]