[気付いた時には、おそらくかなり接近されているように感じられた。
腕を見れば、反射するのは妙な機械の影。不意打ちする側は何度もしてきたが、不意を打たれるというのは初めてのことで。
腹部に迫る蹴り>>226を躱しきれず、背後に吹き飛ばされそうになる。
機械という身ではあるものの、表面のコーティングの都合上、単純な打撃よりも銃撃の方が痛む体であることが不幸中の幸いであっただろうか。
さて、飛ばされ壁に当たるかと思いきや――どうやら腕を掴まれ捻られる。明らかに人の物ではない力の加わり方で、想定などしたことも無い行動だが――
腕を捩じるのに合わせ、体を捻って着地する。]
――なるほど、おじ様には悪いことをしたわね。
[たしかにこれは嫌だ。
腹部に鈍痛が響くがそれはぐっと堪え、亡霊を見つめる。注視しても見失いそうなその影を、見失う訳にはいかない。
腕を振り回されぬよう気を付け、掴まれた腕を強引にそのまま亡霊の体を掴みにかかる。
それを避けて空いた懐に潜り込もうとする亡霊を殴り、距離を離す。
揺らぐ蜃気楼、しかし一定ではないそれから、もう目を逸らさない。
ところでこの時には既に周囲を見る余裕などなかったのだが、しかし耳に届く音から、件の少女はどうやら襲われる私に気付いたらしくチンピラたちに手助けを指示しているようだった>>228。
…………邪魔にならないといいな。]