[結月は腕を伸ばした。小さな手が落とすことなくバトンを次の走者へ手渡すと、もう走る理由がなくなってしまう。ゆるゆると速度を落とし、足を止めた。ゴールを目指す生徒たち、応援の歓声が響く中、少女は一人、取り残されたように立ち尽くしている。]*