─ 祭りを直前に控えた、店じまい後の工房にて ─[ コトン、という小さな音が ラヴェーナの営む工房の郵便受けに響く。 届けられたのは一通の手紙。 ] 『明日、よかったら君と一緒に祭りを回りたい。 もしも良いと思ってくれるなら来てくれると嬉しい。 広場の門で待っている。』 [ 名も書かれていない手紙に添えられていたのは、 ミモザを真似た型で作った、白餡の入った焼き菓子。 まだ誰にも教えていない、ささやかな新作だった。** ]