『互いに忙しくなければ、またあちら、で』
[双方忙しい身、息抜きの機会があればいい。
オフの日は珍しくないが、オフで誰かと酒を飲み交わすことは稀だ。]
『そちらこそ、無事で居てくれよ、
ジェイド』
[お互い物騒な出だ、五体満足で居たい。
先の難民の男の荷物が、ばらまいた瞬間即爆ぜるようなものの類ではなく本当に良かった。
そんな二人の別れの挨拶に、軽い敬礼を投げかける。
掘れば直ぐに出てくることだろう、この泥人形がかつては軍に所属していた記録が。
しかしそれも10年以上過去の話、組織という者に嫌気がさした軍人が一人、ある朝忽然と姿を消した。
たったそれだけの、よくある脱走話だ。
一足先に店を後にした背を見送って、残った酒を一気にあおった。
またこの店に来るのも悪くない。*]