[ 私だけが助かった理由なんてひどく単純明快だ。 "家族よりこの国を、王を選んだ"から。>>141 王は私が王に報いれば報いるだけ労わってくれる。 望む形の、愛をくれる。 私じゃないと駄目なことがちゃんとあるんだ。 ううん、違う 私じゃないと駄目なことがあると思わせてくれてるんだ。 ……そんな歪な夢を見続けられるんだ 王様の、傍でなら。 君の兄と私の弟。二つの支えを失った君が 城下町から密かに出て行ったあの日── 私は君へ、ひとつだけ、告げた。 ]