― 何者かの記録 ―
[はたして「彼」は、所属者か、被験者か、犠牲者か。
「レイ・カノコ」なる人物の立場は、唯の民間人。
ならば所属者の可能性は低い。出身が国外と言うのも相まって、被験者、犠牲者の線を洗う。
結果、被験者の枠にヒット。
犠牲者、では無く。
つまり25年前、「レイ・カノコ」の死体は見つからなかった。検体や死体含む「シンギュラリティ」の技術が曖昧と何処かへ行ってしまう、そんな事が無いよう当時の現場は入念に捜査された筈。
ならば未だどこかに肉体が存在する、もしくは抗争の後、別の場所に運ばれそこで死んだか。
「レイ・カノコ」のカルテを発見。記載されているのは、身長、体重、病歴、手術痕。
……手術痕?
「シンギュラリティ」で行われたとされているソレは随分と奇妙な内容だった。
続きを手繰る。
もっと、もっと深く。もっと「彼」の詳細を。
「レイ・カノコ」は男。無論、染色体はXY。]