[カルテに記載されている性染色体ベースはXX。
つまり「レイ・カノコ」は男性ではなく「女性」だ。
肉体の外見的特徴は性器も含め完全に男であるものの、「彼」は間違いなく「彼女」である。
性染色体やホルモン異常から来るモザイク体、中性的な存在、病気ではなく一種の体質。
遺伝子情報はXX女性体にも拘らず、母体からの男性ホルモンの影響により外性器が男性化。外見上はほぼ男と変わりないが、第二次性徴期時期に染色体通りのホルモンが分泌され、初めて気付く存在であろう。
だがしかし、第二次性徴期のホルモン分泌までもが不完全であったとしたら?
恐らく、誰も気づかなかった。
親兄弟はおろか、本人でさえも。
検体は、均整の取れた身体で健康体。
骨年齢にやや遅れがみられるものの骨量は正常。低身長や内臓奇形、腫瘍等の異常、無し。
男性として育てられたか、女性として育てられたか。
この子の性自認は不明だが、非常に稀な肉体である事に違いは無い。]