マーメイドリバー
[その忠告に少年は笑顔で元気に返事をする。出会った頃の様子はどこへか、すっかりマストのお陰で遊園地を楽しむ客の一人だ。
>>387ロマンはまだ早い子供も美しい光景に夢中になったり、カメラを構える同行者に気づいてレンズの向いた先に翠目の視線も注がれる。
ほあ、と気の抜けた音を発したのはその空の美しさと果てしなさを感じたから。地下の天井とは比べ物にもなりはしない。
王道のアトラクションには、少年の反応は薄かった。呆けたように口を開き、その大きさを見上げるばかり。
乗ったことがないから分からないと、問い掛けに答えもしただろう。
>>388逆に同じ質問を返せばマストの心中は教えてもらえただろうか。苦手だけど見てしまう複雑な心境は、まだ理解するには難しい年頃かもしれない。
警戒心の薄い子供は大きな犬に可愛いと喜びその目の意味を理解せず、相手の上擦りすら興奮と勘違いし、僕“も”動物が好きだとズレた返答をした。
少年が所望したのはファンタジーエリアだった為に、一緒に撫でに行こうと提案することは無かったのは同行者にとっては幸いだったのか果たして。
SFエリアを眺める時はただ感心した様子を見せるだけ。
どことなく歴史を見学しているような気持ち。勿論、全てが全て彼の世界にあるものばかりでは無かったかもしれないけど。
そんな風に様々な反応をしつつもそれぞれに楽しみ、冒険は続く。]