―兎―
[彼女が発した言葉は、これまで幾度となく投げかけられたことば。
誰も彼も、同じように、同じような表情で言ってくる、面白味のないもの。]>>401
キミも、息災でなによりだ。
[本心からそういう。昨日会った人が今日は死体になっているなんて、よくあること。前線で戦う者はとくにそうだ。
言葉を続ける彼女からは、どこか焦りが感じられる。きっと答えが聞きたくて聞いているのではないのだろう。だからこそ、答えよう。
私のやるべきことは変わらない。今までも、これからも。
医者としての責務を果たすだけだ。
[まっすぐに、彼女の瞳をみる。
誰かに理解されたいわけでも、憐れんで欲しいわけでも、持て囃されたいわけでもない。
私が私として存在する理由。]