―マッチョと美少年と―
[こんな子供が仮にもマフィアのボスに噛みついても生きているのは、彼らにとって都合のいい存在だったからだろう。そういう扱いをする者は少なくなかった。
ぼくにとっても、それはそれで都合が良かった。裏路地を好きに散歩できるから。
「BloodSunのボスが死んだらしい」
何処かの誰かが死んだなんて、よく聞く話だ。それでもその噂がやけに気になったのは、知らぬ顔では無かったからだろう。
それからいつもの散歩のときに、誰かを探すようになった。いないことはわかっている。彼にはお友達がたくさんいる。彼の死を悼む人がたくさんいる。
――――いるはずなのだが、 ]
うーん?
[ボスがいなくなった組織にしては、元気がある。ありすぎる。
BloodSunのメンバーはみんな彼に心酔しているようだったから、「俺がボスに成り代わる!」なんてタイプはいないと思うのだが。彼の意思を受け継ぐと考えるコはいるかもしれないけど。
なんだか様子がおかしいというか、変わらないのがおかしい。]