[ 私ではなく医師の需要が多いことは 当時、王だけではなく、正直私も意外なところだった。 城下町へ赴くだけの体力も金も無い民たちなのだから、 考えてみれば寧ろ当然だったのかもしれないな。 だから私は、一度目の遠征任務を終えた時 王へこう報告したんだ。 ] 王。医療を求める民と、医療を施せる医師。 あの集落では──あまりに釣り合いが取れていない ……どうされますか?[ 私は、王にカルテを差し出した。 それを読むかどうかは王次第ではあったが。 私を訪ねた住民たちのことを記した簡素なものだ。 ]