[こうして届けられたデータの詳細は――]
――――本当に?
[そんな呟きが自動的に、音声として零れる。
前の文字へと、数字へと、文章へと戻り。
また次に進んで――後に戻り。その繰り返し。
一度見ただけでも短期記憶のストレージに即時保存される内容を、幾度も幾度も確認し直す。
何度見返しても、取得データに変化はない。
印刷用のインクは紙の上に固着したまま。
数値も文字も、画像も変動しない。
オクリビが幾度も読み返していたのは、その「遺体」……とも検体ともつかぬ器の状態でも在処>>420>>421でもなく。
それ以前の。
「レイ・カノコ」のカルテ>>417に記された、かかりつけの医師ですら告げなかった、“私”の肉体の事実>>419。]