[こうして「遺跡発掘宝探し」の当日、スラムのとある一角の発掘現場にオクリビも呼ばれていた。
穴や裂け目を縫い閉じたポンチョのワイルドぶりは兎も角、洋菓子店の紙袋を両手に提げて現れた姿は、とても発掘調査員といえたものではなかっただろう。
オクリビはあくまで、掘り起こされた「レイ・カノコ」の肉体との対面のためにこの場に来たのだから、特別にスコップや重機を携える必要はなかった……筈だが、それでも幾らかは発掘作業の手伝いを申し出たり頼まれたりしていた。
機工の腕で瓦礫を除けたり、瓦礫の隙間の暗がりにランタンを掲げて、見落としたモノがないか照らし出したり。
地下室の設計図情報が発掘隊に周知されていたこともあり、「アリア」の捜索チームが目的の一部屋に辿り着くまでに、あまり時間はかからなかった。
コンクリートを崩して開けた穴の向こう側、ランタンの灯りを受けて浮かび上がったのは――]