でもたぶん──、
[隣国を仲良く蹴り出して、みんなやっと一息といったところだからか、表がいつもより騒がしい。行き交う人々の雑踏の中に、それでも陰から出て来られない子供たちがいる。枯れ枝のような身を寄せ合って、いつも何かに耐えながら、いつも表をジッと見つめている。
自分があそこから出て行って。好き勝手歩き回れるようになって。
その頃から何かあの場所は変わったのだろうか。]
良くもならなさそうだな。
良くも、悪くも。此処は、そういう場所だろうよ。
まあでも、変わってくれた方がこっちは面白いんだけどな。
どっちに転ぶかは──ま、時の運ってところかね。
[そう言って笑って、フットマンはグラスの中の酒を呷る。
視界の隅で、財布をくすねた子供が腕を掴まれるのが見えた。*]