――――回想:愛すべき王のこと[ 私が用意したカルテは、王の手へと渡った。>>534 名前も書かれていないような簡素なカルテ。 救えない命の名を憶えていたくなかった 人物名を記し続ければキリがなかったからだ、とは さすがに私も言い控えた。 下がって良いと告げられ、大人しく従った私には 貴方が考えていたことなんて分からない。>>535 医者自身の思いも、治療計画も、パーソナリティも なにもそこには 記さなかったのだから。 ]