[ 思い返すのは、イクリールの臨時医院の去り際。 彼女は珍しくオレの名を呼んだ。>>926 呼ばれることが皆無なわけではない。 初めて対面したときにも呼ばれた記憶がある。>>99 だが、なんとなく、彼女の“素”を知った気分に なったあとで名を呼ばれると── 彼女との関係が、少しだけ変わった気がした。 それでもオレが彼女に向ける愛に変わりは無いが、 彼女の胸中はどうなのだろう。 それだけは、少し気にかかった。 彼女が望んでの行動であれば、オレに拒む理由は無いのだが。 ]