だが今になってみて、漸く気づいた。
俺は既に「死んだもの」として、妻に会いに行くべきだったんじゃないか。
俺は “亡霊” として、今からあの人に会いに行ってもいいんじゃないか、ってな。
思えばカレンだって、あくまで俺が天国にいる身だと思って手紙を書いてくれている訳なんだから、あの子のもとにも “亡霊” として会いに行ったっていいんだ。
このことに気づけたのは、カペーシアさんの手紙のお陰だ。
手元に残り続ける手紙だけじゃ未練になる。置いていかれた側の君がそう言うのなら、きっとそうなんだろう。
生きているうちに一目だけでも会えるなら、その方がいい。
多分、俺も逆の立場なら、そう思うんじゃないかって気がしたしな。