(スマホと財布だけをポケットに入れて走ってきた。上がった心拍を意識的に落ち着かせていると、部屋に響いていた繊細な音楽が止まった)
試す?
なにを試されたのかはわかりませんが、あなたにとって必要なことだったということでしょう
……かまいません。俺は合格できましたか?
(すこし冗談めかして返したが、そのあと握られた冷えた手と続けられた言葉になにも言えなくなる
すきなひとからの告白は、落ち着かせたばかりの心臓をうるさいくらいに激しく鳴らし、溢れそうな気持ちをかすれ切った声でなんとか絞り出した)
ありがとう、あなたの恋人になれて、嬉しい。
(冷たい指先を温めるようにぎゅっと握り返し、そのまま手を引いて恋人を抱きしめた)
(キスくらいは、しても許されるだろうか)