[その手紙がポストに投函されるのは、ヌンキが都市部の自宅に戻ってからの話。
封筒の表にたどたどしい文字で綴られた宛名書きは、“ 宇宙自然生物研究所 ジェイロ支部 テンガン ”。
そして封筒表の右下の余白には、やはりたどたどしく綴られた文字の銀河語で、こう書かれている。]
この手紙をテンガン氏に伝えてください。
惑星バハラルダの代表の一人、
海の御使いとして、タムタイアの人々の代表
この手紙はテンガン氏に宛てたものです。
[封筒裏には少しだけこなれた筆致で、惑星バハラルダの住所と“ ヌンキ ”という差出人名を添えて。
封筒や便箋、文字を書くのに使われたインクは、前回の手紙と変わらない。
ただ便箋の枚数が増えた分、封筒の厚みが少し増している。]