[お互いに舌を絡め合ってキスを深めるとなんだか本物の恋人同士のような、まるでこれが二人の幸せな行いであるような感覚に襲われる。胸の心臓でないところがきゅうと鳴った気がした。大きくて健康的で好ましい、彼の口の中をキスで犯す多幸感。]
……もう、そろそろですか?
[彼のリズムがすこしせわしなくなって、登ってくる感じ。自分の声が随分甘くて優しくて、自分でもびっくりしてしまった。成り行きの展開でこんな気持ちになるなんて、あとで悲しむことになるかもしれない。——まあいい、これはすべて薬のせいなのだから。]
いいですよ、出して……
[キスの合間に短く言葉を挟んで伝える。少し強く握り、親指で先端を擦った。あれもこれもさっきのお返しだ。さっき自分にこうされたということは、彼はこの触れ方が好きなのだろうから。
達する瞬間の声も閉じ込めてしまおうと、殆どのしかかるみたいに体重をかけてキスを深めた。こっちは自分がされたら好きな仕草かもしれない。そうやって促した。]