[包帯が解けて床に落ちる。いつだったか健康的で良いと思った、大きな口。そこに醜い傷が含まれる。
再度塞がりかけていた傷を舌先が抉れば、ぷちりといって瘡蓋はまたしても破け、傷口から血が溢れた。それを吸い取られ、舐め取られている。]
いッ……!
あの、ちょっと……痛いです……!
[痛みに悶えた。せっかく塞がりかけていた傷も、こうやってまた開かれてしまえば元の木阿弥。傷付けた時より酷くなったまである。
それで本格的に血が出始めた。音を立てて吸われ、舐められる。
抵抗しようにも、男の腕力にこの細腕は到底歯が立たなかった。]
あ゛……!
[びりり、と痛みが走るたびに呼吸が乱れ、緊張を逃すための声が出た。
なんで?なんでこんなことに?なんでこんなことするんだろう?
目に涙を浮かべて、『ウロボロス』と、名前を読んだ。
『助けて』って。自分に酷い仕打ちをしているのは彼その人だというのに。]