(家に入り玄関扉を閉めると、扉に背を預けずるずるとその場に座り込む。抑えていた涙がぼろりとあふれ出し、膝を濡らした。
昨日好きだと自覚したところだった。
オレガノさんの言葉がなかったら、気付くことは無かったのに。落雷なんて知らずにすんだのに。
今日いなくなるのは分かっていたはずなのに、俺の中にオレガノさんを植え付けるだけ植え付けてどこかに行ってしまった。)
ほんと、悪い人だったなあ。あそこのポーターハウス食べてみたかったけど、いつになることか。行けない店も増えてしまった
(そう指を折り曲げオレガノとした未来の約束を数えていく)
(ふと、自身の唇を指でなぞる)
ふふ、そういえば俺、役以外でキスするの初めてだ。
未来だけじゃなくて俺のファーストキスも持っていかれたみたい。あれ?俺からだから持ってってもらったが正解?
(くすくすと笑うと立ち上がり、泣いた顔を誤魔化すために動きだした)