あの夢の中で私がユラに告げた言葉に嘘はない。
人ならぬ者、人狼とに対しての恐怖は、基本的に私は感じない。
譬えその者が「人を喰らう存在」であったとしても、だ。
その者なりに人間との折り合いをつけて生きている事例は少なくないからな。
だがこれはあくまで、捕食衝動も殺意も感じられなければ、の話。
そうした気配を前にすれば、頭はどうあれ身体は身構える。
“大狼”たるパップの殺意が、この事実を私に教えてくれた。
付け加えると、今の私の祖国での立ち位置は、
明確に“人ならぬ者”の敵となり、迫害を行う側にある。
詳細は長い話になりそうだからここでは割愛するが――
君に避けられても文句は言えない、そんな身分の人間だ。