アマレロからの返信を確認し、サモエドは息をついた。
昨日1日返信が来ず不安だったが、今日の様子を見ると嫌われている心配はなさそうだ。
腰かけていたベッドから立ち上がり、窓を大きく開ける。5階のこの部屋からはセレスティアシティの街灯りが見下ろせた。
上半身の服を脱ぎ、白い肌を夜風に晒す。
目を閉じて両手を広げれば、背中から白い羽が広がった。
久しぶりに自分の羽を動かせば、冬の空気が純白の表面を撫ぜるのを感じた。
目を閉じたまま、昼間の大聖堂を思い返す。美しい讃美歌の声を反芻すれば全身を甘い感覚が走った。顔が紅潮し、息は熱を帯びて空気を揺らす。いつしか瞼は開いていて、どこか遠くを見るように焦点を揺らがせていた。
彼にとっての幸福とは愛を感じること。それは自分に向けられた愛でなくても構わない。彼にとって愛は等しく愛であり、そこに価値の違いなど存在しない。
けれど……今の彼には1つだけ違う愛がある。
自身の内から生まれた愛。愛しいアマレロ。彼はサモエドの特別となった。
彼の顔を思い描き、サモエドは甘い甘い笑みを浮かべた。
「私のアマレロ」
その言葉は滴り落ちるほどの愛を響かせて、夜の空へと溶けていった。