[1番に浮かぶのは、戸惑い。
嘗ては敵だったかもしれない相手と呑気に旅をしようと誘う者がいるかと吐き捨てたくもなる。沢山の質問を数珠繋ぎにしてしまいそうになるところを必死に抑えて、波長を落ち着かせようとする。
何を考えたところで、彼の心も、命の意味も計算だけでは導かれることはない。]
……要するに、私を都合よく利用するという体で、連れて行きたいのだと。
そういうことですか。
[コアが近いせいだろうか。
内部で流された返事は、外部で聞こえる機械音声とは裏腹に、ずっとクリアで聞き取りやすく、本当の人であるかのように思えるかもしれない。
寄せられた額は液晶部分で壁を隔てるようにこつん、とぶつかり。驚いたように大きく円が乱された。]
……私以外にも幾らでもいるでしょうに。
もっと苦しくなくて、ポンコツでもない機体なんて。