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[人ならざる者が人の営みの中にごく自然に紛れ込んでいたとなれば、恐ろしく思うのが定石なのだろう。そうと知らず互いに血を交換したり、深く口付けたり身体を触れ合ったり、自分はかなり命知らずなことをしたのかもしれない。
けれどこの男の心はまだ別のものに支配されていた。彼の謎を解き明かしたい知識欲と少しの情。それと——そこへ頰の隣を炎の塊が掠めていき、頰が熱を持つ。火傷した。]
噓ですね、貴方は人間でいたいんです。
でなければ酒に酔うふりをしたり、労働したり
人間と約束を交わしたりしません。
人の血が飲みたければ人を殺せばいいんです。
神隠しの伝説があるこの国でなら、尚のこと……
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