[妖しく美しいタンザナイトを覗けば、それを物欲しそうに見上げる自分がそこへ映る。
違う。こんなのはふつうじゃない、これは普段の自分ではない。これは全部薬のせいで……]
えっ…そうか、貴方が飲んだ方の薬の影響で
こうなった可能性もありますよね。
自分が飲んだ方のだとばかり思ってましたが…
[どちらの影響だか気になった。気になるし検体が新鮮なうちに調べたくなったけれど、こんな状態で頭が回るわけもなく。
自分が検体の時はこうして研究がままならなくなると不便だなと常日頃思う。いやそんなことより発情している。]
はァ……、あ、っ……
[舌を絡めて息を乱す。身体を支えてくれる手が心地良くて温かくて、彼が人間じゃないという事実を忘れそうになる。だって彼はこんなにも人なのだ。
そう考えていたら力を入れて引き寄せられ、強引に深くまで侵食される。]
っ、ンンっ、ん……!
[うれしくて気持ちがよくて、場違いな多幸感。これはきっと薬のせいではなくて。
甘いものを手放せないのは結局お互い様なのだ。
背中にしがみつく力をぎゅう、と強めた。]