[勢い良く起き上がる彼にぶつからないようサッと引いて避けた。触れるだけのキスでは起きないだろうと油断していたが、感じの良いことだ。
寝転がったままの姿勢でベッドに肘をついて、頬杖つくようにして頭を支える。]
……もう起きて平気なんですか?
[糸の切れるように寝入った時の事を思えば、そうは思えなかった。それからほんの数十分しか眠っていない。その時汗やらなにやらに塗れていた身体が、今は拭き清められていることはわかるだろう。
此方をファーストネームで呼んだあと、身体の痛みで舌打ちする姿を目にしたら、これが彼の本来の性格なのかと改めて分かって頰が緩んだ。]
ね、もしかして、後悔していますか。
[これにしては少しばかり意地悪をいった。]