>>-458
[自身の掌を男の額に当て、吸収した魔力を男に注ごうとした。
抵抗する力も残っていないだろうに、自分に向けられた視線は未だ生きていた。
が───。
それも直ぐに喪失したのを悟る。
自身の魔力を充てられ、呻くように声を上げたからだ。
耐え難い苦痛に襲われているような、そんな声だ。]
…尋常じゃない魔力を己の身に宿しているのに。
それに抗うような力は無いのか。
[その姿に冷ややかな眼差しを向け、ポツリと呟く。
自身を崇拝する様な気持ち、幸せを求める心が生まれ、男が変貌していく様は手に取るように解った。
自身の掌から伝わってくる。
それを証明するかの様に、男の瞳から一筋の涙が溢れた。]