>>-459
『幸せ…?幸せとは何だ。
何故、人間はそれを求めてしまうんだ。』
[幸せを分け与える存在ではあるが、幸せが何かを知らない魔モノは冷え冷えとした視線を向けるだけ。
人間とは違い、老いる事も無く、自然のままで居られればその身が朽ちる事もない。
自分の身に与えられた宿命をただ熟しているだけで。幸せが何なのか理解出来ない。理解しようとも思わない。
投げ棄てた電子機器から、記録された男の声のようなものが漏れる。
シンと静まり返った広場の中で、それだけが響き渡ったのだろう。
その機械から何故男の声がするのか分からない。
その声が示している内容も分からない。
しかし、その音が流れる毎に男の様子が変わっていく事に気付いだろう。
それが男が失くした記憶で、抱えていた闇だったのだろう、と。]